ポジティブチェンジ・コーチング④ポジティブチェンジが目指す変革とは【組織開発】
当事者が実践するポジティブチェンジ
持続的な成長には、人々が自分たちの中にある可能性を引き出し、より良い(善い)世界をつくり出すことに貢献できる活動を生み出していくことが求められます。
そのような活動がすなわちポジティブな組織や社会づくりです。
では、ポジティブな組織づくりは誰がするのかと言えば、それは私たち一人ひとりに責任があります。
組織の中の個人は単なる「雇われ人」ではなく、民主社会における有権者のように、当事者意識を持って組織や社会運営に参加することが求められます。
それはつまり、「私たちは自分自身の取り組みによって、自分の組織や社会が良くなるか悪くなるかに関わる権利と行動力と意思を持っている」ということです。
そのためには現実の理解を深め、夢・希望や利害・苦難をともにする仲間との対話を通じて、一人ひとりの成長と方法の独自性を最大限生かしながら、同時に、組織の夢や希望に向けて協働していくことが大切になるでしょう。
つまり、より良い状態を誰が作るかと言えば、それは私たち自身です。
そのより良い状態を本人がつくる時に手助けが必要だったら、必要な支援を組織(経営者、管理者、コーポレート・スタッフなど含む人々)および周囲の人が提供することが重要です。
それは、自分(一人ひとり)が、どこから来て、何をして、これから何をしたいのかを、考えて決める時間と機会を提供して、自発的な発達・成長を体得する事が重要であるという意味です。
リーダーは自分が変化することで他者に影響を与える
特にリーダーは、人々との関係性の中で、自分が変わると周囲も変わるという意識をもって物事に取り組むことが肝要です。
問題を自分から切り離して見ることは、本質的な問題から目を背けることになります。
人々の集団としての組織の課題を、常に実践を通じて探求し、明らかになる本質的な課題から目を背けず、それを乗り越える能力を、信頼できる仲間と耕し・育む事が、より良い(善い)組織を実現する行いです。
まずは個人の自発的な発達・成長意欲を喚起する、自立的な取り組みを高める機会や場を提供することが組織マネジメントの課題です。
それによって仕事・ビジネスを通じて、より良い(善い)組織や社会を築くだけでなく、次世代に良い財産を残すことができるのではないでしょうか。
仕事・ビジネスは、個人から組織や社会までが、より高い徳や志に向けて発達・成長を促す機会や場であり、それに向けて組織や社会を常に進歩させてゆくものではないでしょうか。
これが、ポジティブチェンジ・コーチングが目指す姿です。
P.ドラッカーに倣えば、企業組織という存在は、市場を創造し収益を上げる機関というだけでなく、ある一定期間、人々に位置と役割を提供する存在であり、共同体です。
そうであるならば、いかなる企業組織といえども、一人ひとりの成員を組み入れ、位置と役割を与えなければ、機能することはできません。
健康で持続的な成長を実現させていくには、まず、「人を育てる」から、「人が育つ」機会をふんだんに提供・活用する態度・マインドセットに切り替えることが重要です。
原則自由・弊害防止で、一人ひとりの意志を問うたり、発揮させたりする、いわば自分の可能性を引き出す取り組みが重要になります。
組織のトップマネジメントの人達が、仕事・ビジネスを通じてより良い(善い)社会づくりに関与していれば、人々はそれを生き方の手本として見習い、自分の範例を作るようになるでしょう。
このようなことの循環ができれば、それはすでに自律自走のチーム・組織に変貌しているでしょう。
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コラムの書き手:株式会社Being & Relationシニアパートナー波多江嘉之