【開催レポート】チームの力を引き出すリーダーとは? 共創型リーダーシップ開発 公開講座(第二回)

はじめに
「共創型リーダーシップ開発 公開講座(全3回)」は、組織や個人がより効果的なリーダーシップを発揮するための基礎を体験的に学べる場として企画されました。
本講座は、半年から1年をかけて実施する標準プログラム(「共創型リーダーシップ開発研修プログラム」)の一部を抜粋し、オンラインで2時間半×3回にわたり開催するものです。
公開講座の第二回では、リーダーシップのビジョンを具体化することで、各参加者が自分自身のリーダーシップ観を深めるとともに、対人関係の傾向や自尊感情の状態を振り返り、今後のリーダーシップスキルを向上させるための基盤を作ることを目指しました。
今回も、90分の中で複数のワークショップを通じて自己理解を深め、参加者同士で学び合う場が提供されました。
参加者について
参加者は4名で、企業のマネージャーや個人事業主といった立場の方々が集まりました。
参加者は前回と同じメンバーでしたが、各自の状況の変化があり、新しい気づきが得られる場となりました。
チェックイン
講座の目標と参加者への期待の再確認
まず、参加者全員で本講座の目的と、各自に期待していることを再確認しました。
講師からは、安心して学べる場を作り、楽しんで受講してほしいというメッセージが伝えられました。
講座第二回目のゴール
体験版講座の第2回目のゴールは、参加者が以下の2点を実現できることです。
- リーダーとしての目指す姿が具体的にイメージできる
- 自分自身の対人関係の傾向が明確になる
参加者の体調・気分シェア
- 参加者の一人は、午前中の講座を楽しみにしており、午後の別の講座も予定されていることから、今日一日が特に楽しみだと感じていました。
- ある参加者は、家族と過ごす時間を取った後、落ち着いて仕事に戻り、モチベーションが高かったことをシェアした。
- 他の参加者は、職場の異動に伴い、新しい環境に対して不安や期待を感じており、その学びを本講座に生かすことを楽しみにしているとのこと。
- 最後の参加者は、メンバーのサポートを受け、万全の体制で講座に臨むことができていると話しました。
前半:「私のビジョンを語ろう!」
前回は過去の経験に焦点を当てた自己分析を行いましたが、今回は「未来」のビジョンに焦点を当てます。
各参加者は、自分で作成した「私のリーダーシップ・ビジョン」を、3分以内で共有しました。
参加者のビジョン
- 参加者1: 木のイメージを使い、チームでウェルビーイングを作り出すことを目指していると語りました。そのためには誠実さ、気づき、信頼が重要であり、自己投資を通じて自己成長を図ることがビジョンとして描かれていました。
- 参加者2: 自分を木のように表現し、根を張って崩れない存在でありたいと考えていると話しました。信頼関係を築き、全ての意見を受け入れてチームが一丸となることを目指しています。彼にとって、個性を尊重し、利用者が最適な栄養を取っていくことが重要な要素でした。
- 参加者3: 自分を「ワンチーム」のメンバーとして見ており、リーダーシップは大きな船の船長のようではなく、チームを導く舵取りの役割を担いたいと話しました。目標数値だけでなく、メンバーの潜在能力を引き出すことを重視しています。また、「一生勉強」を座右の銘として掲げています。
- 参加者4: 自律自走するハイパフォーマンスチームを作りたいというビジョンを持っており、自己成長とチームの成長を共に享受することが大切だと考えています。誠実に信頼関係を築き、プライベートと仕事のバランスを尊重したチーム作りを目指しています。
参加者のフィードバック
- 参加者1: 他の参加者のリーダーシップビジョンを聞いて、共感できる部分が多く、自分の仕事の魅力が「頑張っている人を支援する」から「頑張っている人の成長を支援する」に変わったと感じたとのこと。
- 参加者2: 共に成長するというテーマに共感し、自己犠牲ではなく自己を大切にすることが重要だと再認識したと話していました。
- 参加者3: リーダーシップに対する自信がなかったものの、他の参加者のビジョンを聞き、信頼関係を築くことが大切であると実感したようです。
- 参加者4: 他の参加者と同じ方向性を目指していることを確認できたと話し、特に「木の表現」に触れて、自分のリーダーシップビジョンがより明確になったと感じていました。
後半:「対人関係と自尊感情の関係」
本セクションでは、リーダーシップにおける自己理解と対人関係の重要性を探求しました。
リーダーシップとは?
リーダーシップとは、置かれた状況の中で目指す目的や目標に向かって他者や集団に働きかける影響力のことです。感情的側面がリーダーシップに与える影響についても理解を深めました。
- 感情は理性よりも行動に強く影響を与えること
- 感情は自律神経を通じて体に影響を与え、特にリーダーの感情はチーム全体に伝染しやすいこと
対人関係の重要性と3つの要素
シュッツの「ニューマン・エレメント理論」に基づき、対人関係の3つの要素を理解しました。これにより、チーム内での居心地の良い距離感を保つために必要なポイントが明らかになりました。
- 仲間性・参画:集団に対する関与度(参加したい・外にいたい)
- 支配性・統制:他者を統制したいかどうか(自分で決めたい・他者に決めてもらいたい)
- 解放性・愛着:感情を他者と共有したいかどうか
自尊感情と対人行動
自尊感情とは、自分自身に対する感情や評価を含み、これが高すぎても低すぎても望ましくないことを学びました。自尊感情が適切であると、対人関係やリーダーシップが円滑に進むことが確認されました。
自尊感情と行動の関係
自尊感情が不安定だと、極端な対人行動に繋がることがあるため、バランスの取れた自尊感情を持つことがリーダーとして重要です。防衛的な行動パターン(例:攻撃的、要求者など)を避けるための意識も必要です。
- 自尊感情を調整するためには自己理解が重要
- 自尊感情が低いと自己開示が難しくなり、リーダーシップに支障が出ることがある
ワークショップ: チェックリストを活用した自己理解の深化
1. チェックリスト①: 行動傾向をチェックしてみよう(1〜10点評価)
- 参加者は、自分の行動傾向を評価し、その結果についてグループ内でシェアしました。
- 気づき:
- 1人目: 自分の行動傾向は「統制しない」という特性を持っており、その結果、現場での調整が大変に感じることを認識。
- 2人目: 自分は統制を好まないが、統制している立場にいるため、そのギャップに気づき、適切な対応方法を考える必要性を感じた。
- 気づき:
2. チェックリスト②: 自尊感情をチェックしてみよう(10〜1点評価)
- 参加者は自尊感情を評価し、その結果について話し合いました。
- 気づき:
- 1人目: 自尊感情の「好感」が低いため、自己開示が不足していることに気づき、メンバーとの関係性に影響があることを認識。
- 2人目: 自尊感情のバランスが良いと感じたが、ネガティブなタイプのメンバーに対して気を使った発言を心がける必要性を感じた。
- 気づき:
参加者は、これまでの講座内容や自身の気づきを踏まえて、どうリーダーシップを発揮したら良いか?という課題に気づいた方も多いようです。
次回は「スキル」をテーマにした学びが予定されており、その前段階として、心理的安全性と対話的関係について学びました。
リーダーシップのスキルを学ぶ前に知っておきたい2つの要素
心理的安全性
心理的安全性とは、チーム内でリスクを取ることが許容され、安心して挑戦できるという信念がメンバー全員に共有されている状態を指します。心理的安全性が高いチームでは、協働や学習が促進される一方で、低いチームでは無関心や不安、無用な競争が生じやすくなります。
また、心理的安全性は他者に優しく接することや、その人らしさを尊重することを意味するわけではありません。学習志向の組織における高い業務執行は、迅速に学習方法を見つけ出し、高い品質基準を守ることが重要です。そして、その学習を支えるのが心理的安全性です。
心理的安全性が高い環境は、チームメンバーの挑戦と成長を促す重要な要素となります。
対話的関係
対話の目的
対話の目的は、みんなで一緒に考えられる集団を作ることです。また、従来のあたりまえや自己解釈の枠組みを問い直し、新しい視点を得ることも重要です。
対話的関係の重要性
対話的関係が重要な理由は以下の通りです。
- 相互理解と共感:異なる意見を理解し合うことで、信頼関係が深まります。
- 多様な視点で問題解決:対話を通じて、様々な視点から解決策を見出すことができます。
- アイデア交換による創造性:活発な対話により、新しい発想や解決策が生まれます。
対話的関係は、個々の枠を超えた成長を促す重要な要素です。
参加者の気づき・感想
参加者全員がリーダーシップビジョンを振り返り、それぞれに気づきがありました。
次回に向けて更なる学びを得ることを楽しみにしています。
- 参加者1: 自己開示の重要性に気づき、リーダーシップビジョンをさらに広げられそうだと感じた。
- 参加者2: 自分を振り返る良い機会になり、新しいメンバーとの対話が大切だと思った。
- 参加者3: 自尊感情が改善し、今後は恥ずかしがらずに対話を通じて共有していきたいと感じた。
- 参加者4: ビジョンを作成できたが、そのギャップを埋めるスキルアップを次回に期待している。
おわりに
今回の研修を通じて、参加者それぞれが自己理解を深め、リーダーシップに対する新たな視点を得ることができました。
特に、リーダーシップビジョンの明確化と自己評価に基づく振り返りが有効であり、今後のリーダーシップの実践に大きな影響を与えることが期待されます。
また、今後の研修では、さらに深い対話やフィードバックの場を設け、リーダーとしての成長を支援していきたいと感じました。
次回はいよいよ最終回です。
第3回では、リーダーシップを効果的に発揮するための「具体的なスキル」に焦点を当てます。
参加者全員が自分のリーダーシップスキルを高めることが期待できる内容となっています。
★第3回のレポートはこちら
「共創型リーダーシップ開発研修プログラム」にご興味のある方へ
本研修は、単なるスキル研修ではなく、リーダーとしての「あり方」とメンバー間における「関係性」に焦点を当てたユニークなプログラムです。
「VUCA(変動性、不確実性、複雑性、曖昧性)時代においても柔軟に対応できる、ハイパフォーマンスチームを作りたい」
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